「やぶ・ふるさとキャリア教育」の取組

養父市では、地域とつながり、ふるさと意識を醸成しながら地域に参画する力を高めるため、「ふるさと養父市を実感する活動」、「ふるさと養父市の先人に学ぶ活動」、「ふるさと養父市の今をとらえる活動」、「養父市の未来に参画するための活動」の4つを有機的に絡めながら、ふるさと教育とキャリア教育を一体的に推進する取組を各学校が地域の実情に応じて行っています。本市が進める小中一貫教育の大きな柱のひとつであり、小中9年間を見通したカリキュラムづくりとその実践の工夫、そして「キャリアノート」の活用等に取り組んでいます。

「おおや学 ー 加保坂46プロジェクト」の推進

本校では、「やぶ・ふるさとキャリア教育」のさらなる充実を図る観点から、本年度より、これまで本校が取り組んできた学校地域連携活動で培ってきた地域とのつながりを基盤としながら、「おおや学 ー 加保坂46プロジェクト」をスタートさせています。

このプロジェクトでは、生徒による地域体験活動と講師による特別授業の二つで構成されています。

特別授業は、大屋在住の方や大屋ゆかりの方にお越しいただき、現在取り組まれている仕事の内容やご苦労、喜びについて話していただくとともに、なぜその仕事に取り組まれるようになったのか、これまでの生き方、そしてこれからの夢等についても話していただくことにより、その方の生き方について学び、視野を広げ、将来について考えを深めようとするものです。

地域体験活動は、生徒が地域に出かけて、フィールドワークをしたり、事業所訪問やボランティア活動をしたりする中で、様々な方と交流を深め、そこで実感したことを学びに変えて積み重ねていくことで、地域を担う一員としての自覚を高め、地域参画力を培っていこうとするものです。兵庫県が進めている「トライやる・ウィーク」や「トライやる・アクション」も含まれています。

地域体験活動と特別授業の二つにより、3年間で46人以上のステキな出会いで生徒たちが考えを深め、視野を広げ、心しなやかに伸びていってくれることを願い、本プロジェクトは動き始めています。たくさんの方々のご協力を得ながら。


主な講師の方々

他にも、「トライやる・ウィーク」での各事業所の方々、毎月の「読み聞かせ活動」でのボランティアの方々、校内にお花を活けてくださる方など、多くの方々にお世話になっています。ありがとうございます。

但馬醸造所 工場長:大友 進 氏
海外での勤務経験があり、今も海外とのやり取りが多い大友さん。グローバルに動く上で大切にしていることとして、「自分をアピールすること」「失敗は、次に活かすと失敗でなくなること」「悪いことをしたと思ったら素直に謝ること」「いい人とめぐり会うこと」などについてお話いただきました。

 

 

ミズバショウ公園:島崎 晃 氏
公園内を案内いただきながら、なぜ加保のミズバショウが貴重なのか、その発見から今に続く保全の取組、加保のミズバショウにまつわる昔話など、分かりやすく丁寧に教えてくださいました。「初めて訪れた」と言う生徒がいることにもビックリでした。

 

 

かいこの里:松原一朗 氏
江戸時代に『養蚕秘録』という養蚕の技術書を出版した上垣守国。養蚕の神様と敬われている大屋の偉人です。「かいこさん」のことはもちろん、養蚕が盛んだった大屋の生活や、大屋に数多く残る3階建ての養蚕農家住宅のことなど、かいこを巡る大屋の歴史を学びました。

 

 

盆踊り保存会の皆様
保存会から6人の方々にお越しいただきました。体育館中央に太鼓を置き、全校生が輪になって4つの音頭を学びました。おかげさまで、各地区でのお盆の行事に本校生徒が活躍してくれています。旧大屋町の頃に『盆踊音頭集』が編纂されており、その本も紹介いただきました。

 

 

養父市森林組合 職員の皆様
「林業教室」を実施していただきました。森林組合の普段の仕事や、森林保全の意義などについて話をいただきました。高木を使った伐採作業の実演もしていただきました。生徒からは「森林を守るヒーローのように思えた」といった感想も聞かれました。

 

 

養父市 広瀬 栄 市長
例年実施している市長による特別授業。人口減少&高齢化の課題に対する養父市のチャレンジ、国家戦略特区としての取組の状況等について話していただきました。養父市の将来への展望について意見交換を行いました。

 

 

元 静岡理工科大学 教授 山庄司 史朗 先生
衛生管理と健康の大切さについて写真を通して話していただきました。貧困から脱却するためにも国を挙げて教育に力を入れている状況にふれられ、バングラデシュの子どもたちや青年たちの勉強に向かう力強さに心打たれました。

 

 

明延区長、「鉱石の道」明延実行委員会会長 小林 史朗 氏
明延区長であり、「鉱石の道」明延実行委員会会長の小林史朗さんから、にぎやかだった頃の明延の様子、閉山後の状況、地域活性化に向けた取組の苦労ややりがい、「一円電車」にかける思いなどを話していただきました。事後、1年生が明延での校外授業を行い、その成果を文化祭で発表しました。

 

 

大屋在住の書家 近藤 研秀 先生
本校に隣接する「BIGLABO(ビッグラボ)」との連携による特別授業として、近藤研秀先生に「書のうちわアート」をご指導いただきました。うちわに毛筆で字を入れる活動で、生徒は思い思いに自分の思いや決意を書に表していました。本ホームページの校名の揮毫も、近藤先生によるものです。

 

 

大屋在住の木彫家 松田 一戯 先生
松田先生も、「BIGLABO(ビッグラボ)」との連携による特別授業として「板彫り絵」をご指導いただきました。彫刻刀を使った根気の要る作業。生徒が板に描いた鳥や花、ピアノなどの細かい画をどう彫り表していくか、松田先生がひとりひとりに丁寧に指導してくださいました。

 

 

大屋在住の織物・テキスタイル作家 澤井 まゆみ 先生
澤井先生も、「BIGLABO(ビッグラボ)」との連携による特別授業として「織物づくり」をご指導いただきました。段ボールに切り込みを入れ、縦糸と横糸を織り込んでいく手間のかかる作業。生徒は糸を選び、組み合わせて、色鮮やかな柄仕立ての織物に仕上げていました。

 

 

若杉高原開発企業組合(大屋スキー場)専務理事:池田 俊介 氏
新潟県のご出身である池田さん。大屋に来られるまでの経緯やスキー場経営のご苦労、そして「感謝の気持ち」の大切さについて話していただきました。大屋のよさに触れられながら、「大きくなっても、大屋はステキな所だと胸を張って周りに伝えていける人になってほしい」と話されました。

 

 

大屋在住の書家 前田 華汀 先生
令和2年を迎えた3学期の始業式。スペシャルゲストとして、前田先生に来校いただきました。新年を寿ぎながら、わずか30分という短い時間ではありましたが、「人は変われる。だから目標をもって前向きにがんばってほしい」と、生徒のこの1年にエールを送っていただきました。

 

 

京都大学名誉教授 中尾 一和 先生
筏地区のご出身で、臨床医学者として内外の医学界を牽引されている中尾教授。養父市名誉市民でもあります。ノーベル賞受賞者など日頃お付き合いのある多くの研究者が口にする「セレンディピティ」という言葉を紹介され、「誠実にこつこつと粘り強く、熱意をもって取り組んでいく中でこそ、幸運はもたらされる。だから、がんばり続けることが大事」と力強く話されました。